「サラダとまほうのおみせ」
カズコ・G・ストーン さく こどものとも傑作集 福音館書店


朝息子を幼稚園に送ると、先生が
「さなぎが、ちょうちょになったよ!」と教えてくれました。
みんなで飼っているイモムシのことです。
教室に入ってさっそくかごをみせてもらったら、ちいさいモンシロチョウが2匹
かごのふたにくっついていて、子供達が大喜びしていました。
「いもむしのモナックさんみたいだね」。息子と一緒にこの本のことを思い出しました。

ありやかたつむり、くも、ばった達の暮らすやなぎむらに、
いもむしのモナックさんが引っ越してきます。
そして「サラダとまほうのおみせ」を開きます。
モナックさんのサラダはとびきり美味しくて、みんな毎日お店に通うのだけれど、
突然まほうがはじまってモナックさんはとおくへいってしまう〜。
やなぎむらの仲間達は、モナックさんになかば翻弄されながら、冒険を楽しみます。

作者カズコ・G・ストーンさんは、
幼い頃から虫が大好きで、昆虫館の館長さんになるのが夢だったそうです。
この「サラダとまほうのおみせ」は、春夏秋冬そろっているやなぎむらシリーズの第一弾。
本の中の虫達はみんな、
実におだやかな性格のもちぬしで、お互いを気遣いながら共生しています。
その表情もとてもいきいきとしているのは、
作者の長年に渡る虫へのおもいの結果なのでしょうね。
水彩と色鉛筆をあわせて描かれている絵はとても繊細で丁寧です。
1ページ1ページに春色がぎゅっと詰まっている。

学校の授業で川あそびに行く予定の娘は、ここのところ常に天候チェックをし、
「昨日は雨だったから、かわの水がどろどろかもしれないし、
水がいっぱいかもしれないからいけないかも....」とかなんとか毎朝気を揉んでいる。
息子は、コクワガタに「トレーニングさせてあげているんだ」と木の枝をくわえさせ、
むしかごの中の丸太やえさのゼリーのレイアウトに悩んでいたりする。
子供達は、やなぎむらの仲間達との境があまりないようにおもいます。

これから季節ごとに集めようかな、と思っている絵本シリーズのひとつです。




2006.6.15



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